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グローバリゼーションと啓蒙主義(1)

グローバリゼーションについて考えたいと思います。

グローバリゼーションをどう捉えるかによって、ビジネスマンにとって将来がだいぶ変わってくると思います。

そもそもグローバリゼーションとは、何かといえば、単に経済圏が地球規模になったということではないと思います。そのような結果として、「なぜ必要なのか」、「なぜ存在するのか」というのが、ただひたすら説明が求められるというものだと思います。そして、それがうまく説明できないと淘汰されてしまうというのが、グローバリゼーションなのだととらえています。

顕著な例でいえばAmazonでしょう。アメリカで生まれたサービスであるAmazonでは、あらゆるものが買えるようになりました。本をはじめ、雑貨品を取りそろえることができます。アメリカで生まれたサービスによって、本・雑貨品を取り扱う日本の小売店は、売上が減少し、厳しい経営環境に立たされています。なぜ、Amazonではなくその小売店で買う必要があるのかが問われてしまうのです。

そういうことが世界各地で起きています。私は、これは単にインターネットが発達した、ということが理由ではなく、もう少し、遡って検討しなくてはならないと思っています。その一つが啓蒙主義です。実は、今、足元でもろもろ見えている競争の激化は、この啓蒙主義に由来するのではないかと考えています。

啓蒙主義とは、そもそもなんでしょうか。要するに、今のビジネス用語でいうと、見える化です。

見える化とは、トヨタの有名な業務プロセスです。問題点を誰でも見えるようにして、業務改善を図るというものです。トヨタ独自のような気もしていましたが、これも啓蒙主義のひとつなのではないかと思います。 

啓蒙主義の一般的な定義は、 「啓蒙時代」とも呼ばれる17世紀~18世紀ヨーロッパで広まった、神学に代表される旧来の伝統や権威を理性のもとに批判し、民衆を啓蒙しようする考え方[1]です。一般的には、18世紀ぐらいに終わっている思想ととらえられているらしいのですが、実はまだ続いているのではないかと思います。その具体例のひとつが、トヨタの業務プロセスの「見える化」なのではないかと考えています。

啓蒙思想というのは、光で照らして、一般大衆に見せるという考え方です。「見える化」も同じで、隠れがちな社内の問題点を明るみにして、問題点をなくしていき、業務を改善していくというものです。本質は二つともかわらず、啓蒙思想というのは、現代風にいえば、あらゆる社会の問題点を大衆に「見える化」し、社会変革を促したと言えるでしょう。

この考え方がいろいろな歴史を経て、300年ぐらいかけて、息途絶えることなく世界に普及を続けているのが現代なのだと思います。

先ほどamazonの例を出しましたが、常に存在意義を突きつけられるというのは、働いている人にとって身近に感じていることなのではないかと思います。たとえば、日本においてはかつては弁護士の試験に合格すれば、安泰でした。しかし今では、インターネットが普及して、誰でも気軽に法律の解釈が出来るようになり、以前であれば、時間給を払って相談していたところを自分である程度調べられるようになっています。それでも日本においては、法律の解釈は弁護士の専売特許なので、より確実性を担保するのであれば、弁護士相談はせざるをえないですが、相談の数は減っていると思います。難しい試験を受かっただけでは存在理由を説明できず、それに加えてどういうアドバイスが出来るかなど'なぜ'その弁護士に相談するのかその意義を見出せないと職業として弁護士は成り立たなくなってしまっているのです。

なぜか?というのが非常に強い武器になっています。そしてどこに行きつくのかというのを次回検討したいと思います。その究極的な姿がアメリカなのではないかと思います。それについては次回考えたいと思います。

 出典:

[1]啓蒙主義とは - 日本語表現辞典 Weblio辞書