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グローバリゼーションと啓蒙主義(2)

 前回(グローバリゼーションと啓蒙主義(1) - すべての会社員を支援するブログ)、啓蒙主義が18世紀途絶えず生き続け、現代においてグローバルに普及していることを説明しました。この現象が行きつく世界を考えたいと思います。

 結論からいうと、前にも書きましたが、世界中どこもかしこもアメリカ合衆国のようになるのだと推測しています。完全ではないですが、かなり近い状態になるのではないかと思います。その理由は、アメリカ合衆国は、啓蒙思想が根付いている国だからです。

1.行きつく世界がアメリカ合衆国だと思う理由

 トクヴィルという人が「アメリカのデモクラシー」という本を19世紀中頃に出しています。この本は、トクヴィルがアメリカを視察し、民主主義国について分析した本と言われています。読んでいただくとわかりますが、この本で描かれているアメリカ人の特色というのは、本質的には、今のそれとほとんど変わっていないです。

 たとえば、トクヴィルの指摘しているものの一つに、アメリカ人は、人間の無限の可能性の観念が吹きこまれているというのがあります[1]。これは、日本人にはわかりにくいかもしれませんが、要するにどんなに人間にも無限の可能性があるという考え方だと思います。我々日本人は、盛者必衰の概念が吹き込まれていますが、アメリカ人にはそのような考え方は基本的には通じない概念であることは、何人かのアメリカ人と話してみれば明らかでしょう。

 この本において書かれていることで、指摘したい特色の一つに、アメリカ人は、デカルトを学ばずとも、みなデカルトの分析方法を身につけるというものでした。[2]

 デカルトの分析方法というのは、『方法序説』という本にまとめられています。この本は、一般的には、「われ思うゆえにわれあり」が有名ですが、もともとは、デカルトのものごとの分析方法を論じているものです。デカルトは、以下の手法でどんな難しい問題でも解ける!と豪語しました。その方法は4つあります[3]。ビジネス用語的に説明してみたいと思います。

 第一は、明証的に真であると認められるどんなことも真として受け入れない。

 ⇒「本当にそうなの?」と突き詰めて、真実だと思うものだけ、信じる。ビジネス用語でいうとトヨタの三現主義「現地、現物、現実」というところでしょうか。現場でなにが起こっているかきっちり情報を得ていないと混乱するということはよくあると思います。

 第二は、課題をできる限り小さく分割する、第三は、分割して単純でわかりやすいもの、手をつけやすいものからから解いて積み上げていく。

 ⇒第二と弟三の手法は若干重なるところがあります。着手小局、着眼大局や千里の道も一歩からともいいますが、一歩一歩着実にわかるところを分析するという趣旨だと思います。

 第四は、すべての場合にかんぜんな枚挙と全体に渡る見直しをして、なにを見落とさなかったと確信する。

 ⇒要するにいまのビジネス用語でいうところのMECEです。MECEとは、 Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、要するに重複なく・漏れなくという意味です。

 トクヴィルの言葉を借りると、「18世紀になると突然に、デカルトとその先駆者が思いもよらなかったほど広く、また彼ら自身があえてそこまで広げるのを拒んだ領域にまで適用されるように」なりました[4]。デカルトは分析の主体を特定の分野に限定していましたが、分析の対象を宗教、政治に向けたのがまさしく啓蒙思想の時代といわれる18世紀だと思います。

 アメリカ独特の反知性主義にも若干重なるところもありますが、このようにアメリカは、伝統的に啓蒙思想が根付いています。トクヴィルに言わせると、デカルト的な考え方について、アメリカの教育に仕組まれているかというとそいうわけではなく、自然に精神がそのように向かわせるということだそうです[5](トクヴィルは、根付いた理由として民主主義をあげていますが、啓蒙思想が根付いているの理由は別途機会あれば考えたいと思います)。

2.出世したければ、存在意義を示す必要がある

 デカルトの第四番目がMECEであることに象徴されるように、現代のビジネスがいかに啓蒙思想に影響を受けているかがわかるがよくわかるかと思います。グローバリゼーションを経て、このようなデカルト的な考え方をいつまにか身につける運命になっているのです。

 すなわち、毎日毎日働いて、いろいろな競争を経たうえで身につけるのが、この発想なのです。それがいいか悪いかは、それぞれの判断なのでしょうが、それがどんどん進んでいるのが現代なのです。

 たとえば、「出世する人は人事評価を気にしない」という本[6]があります。この著者は、人事コンサルタントとして、あるゆるパターンの社員と接したことがあるようなのですが、この本でも、役員に出世する人というのの特色として、あらゆる「なぜ」という問いに対して自分なりの答えを持っている人だそうです[7]。もし出世したい・成功したければければ、もろもろの「なんで」という質問に対して、真摯に取り組む必要があるということです。日本の保守的な企業においては、「空気」を読むことも必要なので、なぜと問い続けていくのには、限界があることもあるのですが、そのような限界もいずれなくなるでしょう。出世する人間を見ていても、啓蒙思想が広がっていることがよくわかるかと思います。

  そうすると、では、「なぜ」と言われた時に「どの程度理由を説明する必要があるのか」というのが次のテーマになるのではないかと思います。それについて次回検討したいと思います。

出典

 [1]トクヴィル著(松本礼二訳)『アメリカのデモクラシー (第2巻上)』64頁(岩波文庫、2014年)

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[2]トクヴィル・前掲注[1]18頁

[3]デカルト著(谷川多佳子訳)「方法序説」28頁、29頁(岩波文庫、2008年)

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[4]トクヴィル・前掲注[1]21頁

[5]トクヴィル・前掲注[1]18頁

[6]平康慶浩著『出世する人は人事評価を気にしない』(日本経済新聞社、2014年)

 

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[7]平康慶浩・前掲注[6]113頁